建設業許可業者に課せられる義務とは?

 

こんにちは。建設業許可パートナーの吉田です。

今日は、建設業許可は取って終わりではなく、取ってからの手続きや課せられる義務が多くございます。

許可業者が守るべき義務や手続きについてお伝えいたします。

 

建設業許可業者に課せられる義務とは?

 

建設業許可を受けた者は一定額以上の建設業の営業が認められる反面、許可行政庁への届出義務等の様々な義務が課せられることになります。

建設業許可業者に対して課せられる義務のうち代表的なものは、以下の5つです。

 

① 許可行政庁への届出義務

② 標識の掲示、帳簿の備付・保存及び営業に関する図書の保存義務

③ 契約締結に関する義務

④ 工事現場における施工体制等に関する義務

⑤ 下請代金の支払いに関する義務

 

これらの義務に違反した場合には、行政処分(業務改善命令、営業停止、許可の取消し)の対象となるばかりか、司法当局の手により逮捕、刑罰の適用等が行われることもあります。

さらに、行政処分を受けた場合には、処分内容等が許可行政庁のホームページ等で公表されることとなるため、公共工事については発注者からの指名停止、民間工事についても顧客からの信用力の低下等、場合によっては事業を廃止せざるを得ないような状態に追い込まれる可能性があります。

建設業の経営者は、自社についてこのような義務が履行でき得る体制となっているか、違反行為の未然防止のための内部監査制度はきちんと機能しているか等を常にチェックする必要があります。ひとつひとつ見ていきましょう。

 

1 許可行政庁への届出義務について

建設業の許可を受けた者に対しては、例えば経営業務の管理責任者としての経験を有する者として届け出た者が常勤役員ではなくなった場合の届出等、様々な届出義務が課せられています。

以下は、石川県の許可手引きの一部です。

許可後の変更届出を提出して置かないと、5年後の更新がスムーズにできず、最悪の場合許可期限が切れてしまいます。

また所在地や営業所等に変更がない場合であっても、決算から4ヵ月以内に決算状況を届け出る必要がありますので、忘れないようにしましょう。

 

2 標識、帳簿の備え付け・保存及び営業に関する図書の保存について

 

(1)標識の掲示

建設業の許可を受けた者は、その店舗及び建設工事の現場ごとに、公衆の見やすい場所に、標識を掲げなければなりません。

なお、標識の様式については、店舗用標識としては80頁、工事現場用標識としては81頁のものとするよう定められています。

店舗に置くこの標識を、俗に「金看板」といいます。許可を取得した後、標識の掲示を忘れないように行いましょう。

 

(2)帳簿の備え付け・保存

建設業の許可を受けた者は、請負契約の内容を適切に整理した帳簿を営業所ごとに備えておかなければなりません。

帳簿については5年間(発注者と締結した住宅を新築する建設工事に係るものにあっては10年間)の保存義務が課せられています。

 

(3)営業に関する図書の保存

建設業の許可を受けた者は、発注者から直接建設工事を請け負った場合は、営業所ごとに、

営業に関する図書を当該建設工事の目的物の引渡をしたときから10年間保存しなければなりません。

 

 

3 契約締結に関する義務について

 

請負契約の締結に関しては、着工前書面契約の徹底、契約書面への記載必須事項の規定等の義務があります。

また、自己の取引上の地位を不当に利用して工事原価に満たない価格で工事契約の締結を強制する行為や、

契約後に自己の取引上の地位を不当に利用して当該工事に使用する資材等の購入先を指定し請負人の利益を害する行為についても禁止されています。

 

 

4 工事現場における施工体制等に関する義務について

 

(1)工事現場への主任技術者等の配置義務

主任技術者とは当該工事に関する一般建設業許可の営業所専任技術者の資格要件を満たす者のことをいい、

監理技術者とは当該工事に関する特定建設業許可の営業所専任技術者の資格を満たす者のことをいいます。

建設業の許可を取得した者は、元請下請の別に関わらず、工事現場に主任技術者(又は監理技術者)を配置しなければなりません。

JV工事については全ての構成員がこのような技術者を現場に配置することとなります。

 

(2)工事現場への主任技術者等の専任配置義務

個人住宅を除くほとんどの工事では、請負代金の額が3,500万円(建築一式工事の場合は7,000万円)以上の工事に係る主任技術者又は監理技術者は、

当該工事現場に専任しなければならず、他の工事現場との兼務ができないこととなっていました。

しかし、令和2年10月の法改正で、監理技術者については例外として要件を満たした場合に兼務が認められ、

また主任技術者については、下請会社の合意により一定金額未満の特定専門工事について、一次下請会社の主任技術者が一定の指導監督的な実務の経験を有し、

その主任技術者が当該工事現場に専任で置かれている場合は、二次下請会社が当該工事現場に専任技術者を置かないことが認められました。

 

(3)一括下請負の禁止

請け負った工事について他者に一括して下請負する行為、他者から工事を一括して下請負される行為の双方が禁止されています。

 

(4)特定建設業許可業者に関する義務

① 施工体制台帳・施工体系図の作成義務

発注者から工事を直接請け負った特定建設業許可業者が、4,000万円(建築一式工事については6,000万円)以上を下請負して工事を施工する場合にあっては、当該工事に係る全ての下請業者を明らかとする施工体制台帳等を作成する必要があります。

② 下請負人への指導義務

発注者から工事を直接請け負った特定建設業許可業者には、当該工事に係る全ての下請業者に対する法令遵守指導の実施のほか、法令違反を是正しない下請負人があった場合の行政庁への通報義務が課せられています。

 

5 下請代金の支払いに関する義務について

 

(1)下請代金の支払期日に関する義務

注文者から請負代金の出来高払又は竣工払を受けたときは、その支払の対象となった工事を施工した下請負人に対して、

相当する下請負代金を1か月以内に支払わなければなりません。

 

(2)特定建設業許可業者に関する義務

① 下請代金の支払期日の特例

特定建設業許可業者にあっては、前記(1)の期日、又は、「下請負人(特定建設業許可業者又は資本金額が4,000万円以上の法人を除きます。)から引渡し申出日から起算して50日以内の日」のいずれか早い期日内に下請代金の支払を行うことが必要です。

② 割引困難な手形による支払の禁止

特定建設業許可業者が、下請代金の支払いを一般の金融機関による割引を受けることが困難と認められる手形により行うことは禁止されています。手形サイトが120日を超える手形については、割引困難な手形とみなされますので、注意が必要です。

 

建設業許可パートナー石川に出来ること

                           

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